いわゆる社会保障プログラム法案の衆院厚労委での強行採決に対する2団体の声明を紹介します:
衆議院厚生労働委員会での「社会保障プログラム法案」の
強行採決に抗議し、廃案を求める談話
11月15日(金)の衆議院厚生労働委員会において、社会保障改悪のスケジュールを決めてしまう「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法案(プログラム法案)」が、自民、公明の賛成多数で強行採決されました。19日の衆議院本会議での採決がねらわれています。
委員会では、「もっと審議時間を確保するべき」「消費税を増税しながら社会保障の拡充ではなく、財政対策等に回されていることに国民の怒り、不満が大きい」などの意見も出されましたが、結局、わずか5日間25時間という審議時間のもと、反対討論を打ち切って採決を強行しました。「ねじれ解消」と言いながら、実態は国会審議をないがしろにする多数での横暴に、怒りを込めて抗議するものです。
「プログラム法案」は、社会保障制度に対する国の責任を放棄し、国民を「自助・自立」に駆り立てる体制づくりこそ国の政策であると規定し、医療・介護・年金・保育の各分野にわたる国民負担増と給付削減を打ち出して、その実施スケジュールを明記する「社会保障総改悪」の促進法案です。さらに、社会保障財源は消費税増税と社会保障切り捨てによって確保することを盛り込んでいます。
財政再建を口実にして、国の「改革」の基本を「自助・自立のための環境整備」とし、憲法25条に規定される生存権を否定。社会保障総改悪のもと、国民を無理やり「自助」に追い込むという方向を公然と宣言し、憲法改悪、消費税増税、TPP交渉参加等と表裏一体で改悪を推し進めようとしています。
格差と貧困が拡大し雇用状況の改善もない中、社会保障の総改悪は国民生活をますます苦しめるものでしかありません。「介護心中・殺人」「手遅れ死」など、豊かなはずの日本社会であってはならない事件が後を絶ちません。私たちの生活と医療・介護現場の実態を広く訴え、社会保障の拡充を求める世論を構築し、廃案を求める共同の運動を大きく繰り広げましょう。
2013年11月15日
中央社会保障推進協絵議会
事務局長 山口一秀
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談話:社会保障改悪プログラム法案の委員会採決強行に抗議する
衆議院厚生委員会は本日15日、野党の強い反対を押し切って、いわゆる「プログラム法案」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案)の採決を強行し、自公の賛成多数で可決した。短期日の審議を通じても法案の問題点が鮮明になり、野党が一致してさらなる審議を求めるなかでの採決強行であり、全労連は拙速な採決強行に強く抗議する。
第一に指摘すべきは、「このような法律がそもそも必要か」という疑念が湧き起こるなかでの採決となったことである。「プログラム法案」は、今後の社会保障制度「改革」(改悪)の工程をあらかじめ決めるものだが、肝心の「改革」の内容の大部分が今後具体化となっていることが、審議を通じてより鮮明になった。中身も示さず、今後の社会保障大改悪の日程(工程)だけを国会と国民に押し付けるものであり、議会制民主主義のうえからも許されるものではない。医療や介護、年金等の個別法案が今後必須なのだから、そのなかで論議をつくせばよいのであって、このような法律はそもそも必要ないといわざるを得ない。
第二に指摘すべきは、短時間の審議のなかでも、政府のねらう「改革」が国民のいのちを脅かす社会保障大改悪であることが明らかになったということだ。厚労大臣等の答弁によって、想定されている「改革」は、昨年の三党合意による社会保障制度改革推進法にもとづいて、「自己責任」を基調とした負担増と給付の抑制(社会保障サービスの後退)であることが鮮明になった。また、消費税増税は「財政健全化」のためであり、社会保障拡充が目的でないことも答弁で明言された。貧困と格差がますます深刻化し、受診中断や介護難民が社会問題となるなかで、いのちを脅かす制度改悪は許されない。
消費税率の引き上げ中止のとりくみと一体で、参院段階では審議を尽くさせ、「プログラム法案」を廃案とするため、全労連は国民的な声と共同をいっそう強化していく。生活保護改悪二法案の廃案とあわせて、憲法25条にもとづく社会保障の拡充を求めるとりくみを発展させる。
2013年11月15日
全国労働組合総連合
事務局長
小 田 川 義 和